採用事例: 半導体製造におけるAGVの運転制御用CANopenマスタゲートウェイ
課題: 安定性の実現と破損の防止
半導体の製造においては、ウエハーカセットを積み下ろしする際の安定性が重要です。空気中のパーティクルによるシリコンウエハーの破損は、どのような犠牲を払っても防がなければなりません。品質を保証するために、この業界で人間よりもロボットの使用が好まれるのは、これが理由の1つです。Hanwha Roboticsは、使用事例の中でも特に、倉庫内でウエハーカセットを安全に搬送するためのAGV (無人搬送車) を提供しています。カセットの搬送中、繊細な素材を傷つける可能性があるため振動は禁物です。また、通信の遅延やデータ損失により、モータの制御が失われることは、どのような状況でもあってはなりません。
Hanwha Roboticsが以前導入していた低価格のソリューションは、同社の期待を完全に満たすことができませんでした。プロトコルコンバータが単純なゲートウェイで、マスタ機能がありませんでした。このため、Hanwha Roboticsは、通信容量が多く、より高い性能基準を備えたゲートウェイを探して、顧客のニーズを満たそうとしていました。
解決策: ヒルシャーのnetHOSTマスタゲートウェイとの即時通信
問題が繰り返し発生したため、Hanwha RoboticsのAGV開発チームの研究者たちはまず、使用していた単純なゲートウェイに代わるものを調べ始めました。主な問題はモータ制御の深刻な障害で、ソフトウェアを開発する5年の間に何度も経験していました。この間に、要件も明らかになってきました。ベルトコンベアやリフト作業などの機能が必要になったのです。そこで、2023年4月に韓国ヒルシャーに連絡を取り、ヒルシャーのCANopen用リモートマスタゲートウェイであるnetHOST (NHST-T100-CO/COM) の実装を決定しました。ユースケース: 半導体製造に使用されるHanwhaのAGVのモータドライブを制御。
AGVは、事前に定義されたガイドラインまたは誘導装置に従って移動する輸送車両です。こうした車両は、物の移動が頻繁に必要な工場や倉庫で、他の機器と信号を送受信することにより、品物を安全に移動します。
AGVの使用には複数のメリットがあります。
- 投資コストと運用コストの低さ
- イントラロジスティクスの自動化
- 迅速で正確な動作
Hanwha Roboticsが提供するAGVは、カスタマイズされ、認証を受けたターンキーソリューションで、作業効率と精度を向上します。
- リフレクタの誘導による自己位置測定
- 自己位置測定と環境地図作成の同時実行 (SLAM)
- SLAMとリフレクタの誘導によるハイブリッドの自己位置測定
- 接触型/非接触型のバッテリ充電と交換
- バッテリ交換
- AGV制御システム (交通制御とジョブ割り当て)
- ジョブの割り当てと制御
- 最短経路探索と交通予測アルゴリズム
- 冗長性ソリューションでシステムの安全性と信頼性を保証
- ワイヤレスネットワーク設計
- ネットワーク障害の予測と分析
- Wi-Fiの最適化とスペクトル分析
Hanwha RoboticsにおけるnetHOST
ヒルシャーのnetHOSTは、同社が求める仕様に完全に適合していました。
- データ転送の安定性
- 通信の損失と遅延を監視する際の精度の高さ
- エラー (切断など) の即時通知
- 通信容量の大きさで高い性能を実現
- 一度に複数のドライブを使用
- モータ制御の故障や停止が起こらない
- ネットワーク管理機能
顧客の工場の生産ラインにあるすべての製品と設備で、最大限の生産性、安全性、信頼性を保証しなければなりません。以前のゲートウェイソリューションを使用していた時は、負荷が高くなって、倉庫内で重大な事故が発生する可能性があったため、Hanwhaのエキスパートは、ゲートウェイをソリューションに完全に実装する前に、テストを行うことに心血を注いでいました。このnetHOSTのユースケースでは、常に安全面が優先されてきました。テストは、次のような内容でした:
- 通信サイクルタイムの確認
- CANopenマスタとしてのnetHOSTを介した他のモータドライブの制御
- 必要に応じてAGVを直ちに停止
- 緊急時のケーブルの取り外し
- 慌ただしく、騒がしい環境での安定した動作
現在のところ、ヒルシャーのnetHOSTは、主にAGVの駆動モータとメインコントローラ間の通信コンバータとして機能しています。通信の損失やエラーに関するフィードバックをすぐに受け取れるため、従来よりも迅速なトラブルシューティングが可能になり、ダウンタイム全般が短縮されます。
Hanwha Roboticsは、ダウンタイムを発生させずに生産ラインを運用するという究極の目標を達成するために、ヒルシャーのエキスパートが用意したプログラミング例を使用することができました。同社の経験では、ヒルシャーのnetHOSTを使用したデバッグもやりやすいものでした。これは、リモートマスタゲートウェイのエラーコードがよく体系化されているためです。その他の問い合わせについても、AGVの開発チームは、チケットシステムでヒルシャーの技術サポートに直接連絡することが可能でした。そのため、プロジェクトは顧客の期限内に完了しました。コミュニケーションはオートメーションの非常に重要な要素であり、Hanwha Roboticsは常に準備万端でありたいと考えています。そのため開発チームは、新しい別のプロジェクトでも、ヒルシャーと共に仕事をすることを検討しています。
Hanwha Roboticsについて
Hanwha Roboticsは、協働ロボットや移動デバイス (AGV/AMR) の高品質で信頼性の高い技術を開発しています。ベースとなっているのは、機械工業やオートメーション業界で培った高度な設計とスマートテクノロジーです。Hanwha Roboticsは、スマートファクトリーをはじめとする付加価値ソリューションを提供し、成長を続けています。
目標は、デジタルトランスフォーメーションに貢献することで、オートメーション技術や製品の実装で、人々に利便性と自由を提供していきます。これは、サービスや食品技術などに対応するB2C業界において、ロボットと人が調和して協働することを表します。
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